京都大学2023前期理系数学解答 $\fbox{5}$

対称性を考慮すると,点P$(t, 0, 0)$,点Q$(0, 1-t, 0)$ を結ぶ線分PQが,$t$ が $0\le t \le 1$ の範囲で変化するときに $xy$ 平面上で通過する領域(これを$A$とする)を,$x$ 軸の周りに1回転してできる立体の体積を2倍したものが,求める立体の体積になる.

以下 $x\ge 0$,$y\ge 0$,$z=0$ として考える.

$0<t<1$ のとき,線分PQの方程式は $\dfrac{x}{t}+\dfrac{y}{1-t}=1~(0\le x\le t~かつ~0\le y\le 1-t)$,すなわち $(1-t)x+ty=t(1-t)~(0\le x\le t~かつ~0\le y\le 1-t)$.これは $t=0$ または $t=1$ のときも線分PQを表す.

これより $t^2-(x-y+1)t+x=0$ となるので,この方程式が $0\le t\le 1$ の範囲に解をもつ条件を求めればよい.

$f(t)=t^2-(x-y+1)t+x$ とおくと $f(0)=x\ge 0$,$f(1)=y\ge 0$ であるから,方程式 $f(t)=0$ が $0\le t\le1$ の範囲に解をもつ条件は

\[ x=0 かつ 0\le y \le 1 \]

または

\[ y=0 かつ 0\le x \le 1 \]

または

\[ 判別式\,D=(x-y+1)^2-4x\ge 0 かつ 0<\frac{x-y+1}{2}<1 かつ x> 0 かつ y> 0 \]

である.

 

最後の条件は,$0<\dfrac{x-y+1}{2}<1$ より $x-y+1\ge 0$ かつ $x-1\le y\le x+1$.

また $x\ge 0$ であるから $D\ge 0$ より $x-y+1\ge 2\sqrt{x}$.よって $y\le x-2\sqrt{x}+1$ となる.

 

以上より領域 $A$ は,不等式

\[ x\ge 0 かつ y\ge 0 かつ y\le x-2\sqrt{x}+1 \]

で表される.

したがって,求める体積を $V$ とすると

\begin{align*}
 \frac{V}{2} & =\pi\int_0^1 y^2\,dx \\
 & = \pi\int_0^1 (x-2\sqrt{x}+1)^2\,dx \\
 & = \pi\int_0^1(x^2+4x+1-4x\sqrt{x}-4\sqrt{x}+2x)dx \\
 & = \pi\left[\frac{1}{3}x^3+3x^2+x-\frac{8}{5}x^{\frac{5}{2}}-\frac{8}{3}x^{\frac{3}{2}}\right]_0^1 \\
 & = \pi\left(\frac{1}{3}+3+1-\frac{8}{5}-\frac{8}{3}\right) \\
 & = \frac{\pi}{15}
\end{align*}

ゆえに $V=\dfrac{2}{15}\pi$.